どのような人たち?

「私たちは農家ではなかった」に掲載している農家さんたちは、以下の基準を満たす人たちです。

1.滋賀県で農業を営んでいる人。
2.化学合成農薬・化学肥料(窒素成分)を使用しない農業を行っている人(※注1)

このうち、2.のような農業を行う方々には小規模な農家さんも多く、情報発信も十分には行われていません。

お客さんの立場から見ても、なかなかその情報を得ようとすることは困難でした。

しかし、実際にそのお野菜を手に取ってもらうためには、まずは弊社が位置する滋賀県というエリアの中にどのような農家さんたちがいるのか、その情報をWEBでまとめて得られるような方法が必要なのではないか。

そのような考えから、このようなサイトを立ち上げることになりました。

そして、これらの項目は、株式会社はたけのみかたが自社の商品づくりにおいて設定している基準とも共通するものです。

日ごろお客様から、「はたけのみかたの商品は有機野菜を使った商品ですか?」という質問をよく頂きます。
その答えは、そうと言えばそうで、そうではないと言えばそうではありません。

はたけのみかたの取引する農家さんには、いわゆる「有機JAS認定」を取得している方も、取得されていない方もいらっしゃいます。

そのため、はたけのみかたの商品も「有機JAS認定」を取得した商品ではありません。

しかしながら、農薬や化学肥料を使用しない農業を心から応援したいという想いから、はたけのみかたでは、必ずしも「有機JAS認定の取得」を農家さんとの取引の条件にはしていません。

有機JAS認定って?

現在、日本で「有機野菜」や「オーガニック」と称することができるのは、国が定めた規格を満たして認定を受けた農家さんが生産する「有機JASマーク」を貼付した農産物です。

同じく加工品も、有機JAS認定の農産物を使用し、同様の認定を受けた加工者によってつくられた商品が、マークを貼付し「有機」を名乗ることができます(※注2)

現行の有機JAS検査認証制度は、かつての健康ブームや自然食ブームの際、厳密な規定なく「有機」を名乗る農産物や加工品が大量に販売され、消費者の混乱を招いたことから、その品質を管理するため、統一された基準をつくる目的で制度化されました。

その認定基準を満たすためには、

「堆肥等による土作りを行い、播種・植付け前2年以上及び栽培中に(多年生作物の場合は収穫前3年以上)化学的肥料及び農薬を使用しない」

といった時間のかかる条件があり(※注3)、それを示す数多くの書類の提出も義務付けられています。
また個人でも毎年10万円程度の認定料が求められるなど、費用面での大きな負担もあります(※注4)

これらの条件は、有機農業を志す小規模な農家、新規就農者にとってはかなり高いハードルであり、また認定を取得しても必ずしも野菜の売り上げにはつながらないことから、結果として認定取得を断念する農家さんが数多くおられます。
認定の取得を断念した農家さんには、認定基準を上回るほどの厳しい栽培管理を行っている方も数多く存在します。
この制度は、申請された農産物の栽培状況を保証する機能は有していますが、日本における有機農業を推進し、有機農家を増加させるという機能は有していません。

はたけのみかたの考え方

元々の有機農業の意味を遡るならば、それは土壌へ多大な影響を与える化学肥料や農薬を使用せず、周辺環境や生産者の健康にも悪影響を及ぼすことのない、持続可能な農業のことを指します(※注5)

はたけのみかたでは、以上の様な意味での「有機農業」は順守していますが、必ずしも「有機JAS認定の取得」を、野菜の取引やサイト掲載の条件には挙げていません。
その条件によって、小さくても素晴らしい農業を行う農家たちとの出会いを制限することを望んではいないからです(※注6)

その代わり、それぞれの農薬や化学肥料の使用状況は、はたけのみかたがそれぞれと契約を交わし、厳密に管理しています。
皆さん、非常に厳しくて手間のかかる農法を、誠実に、精一杯実施している方ばかりです。

ですから、
「農薬や化学肥料の使用状況が気になる」
「有機JAS認定のお野菜が欲しい」
「有機JAS認定ではなくても、こだわったお野菜がほしい」
という方すべてに、安心してこのサイトをご覧いただき、実際にお野菜を手に取っていただくことができます。

ここでは、年齢も、農家歴も、農場の規模も異なる、たくさんの農家さんたちの情報を掲載しています。
このWEBサイトを通じて、農薬や化学肥料を使わない農業の魅力が少しでも広まれば。
同時に、農法を超えた、農家さん一人一人の魅力をも皆さんに伝えることができれば、はたけのみかたにとって、これ以上嬉しいことはありません。

注1 : 農薬や化学肥料を使用した農法(慣行農法)は、野菜に影響を及ぼす他の生物を排除し、野菜の生育を助ける働きを持ちます。しかしながらこの働きにより、微生物を多く含んだ豊かな土壌にも少なからず悪影響が与えられます。このような慣行農法を続けることにより、野菜の生育に適した豊かな土壌がだんだんと劣化し、周辺環境への影響も考えられます。

私たちは、未来に向けて持続する農業を目指し、農薬や化学肥料に頼らない農業という意味での「有機農業」を応援しています。有機農業は慣行農法に比べ、特殊な技術や労力が要されますが、そのぶん土の劣化を防ぎ、環境への悪影響を抑えることができます。

また有機農業と近い意味を持つ言葉としては「自然栽培」というものがあります。これは有機農業と同じく農薬や化学肥料を使用せず、また有機農法では施肥が禁止されていない「有機肥料」も使用しないという栽培方法で、限りなく「自然」に近い状態での栽培を目指したものです。

この農法は有機農業よりさらに方法が限定されたものですが、有機と違って第三者機関による認定や基準が存在せず、あくまで自己申告の農法であるため、生産者との信頼関係に基づいた購入が求められます。はたけのみかたの契約農家の方にも自然農法を実施されている方が複数名おられますが、その栽培状況ははたけのみかたに共有頂いており、品質についても確認しております。それぞれの農家さんの詳しい情報は、それぞれのページをご参照ください。

注2 : 有機JAS認定事業者の種類には、有機農産物と有機加工食品のそれぞれに「生産工程管理者」と「小分け業者」が、また有機飼料及び有機畜産物にも「生産工程管理者」と「小分け業者」が、さらにそれぞれの品物を取り扱う「認定輸入業者」が存在します。

この場合の「生産工程管理者」は一般的な生産者を指し、「小分け業者」とは、流通過程での小分け(箱詰めされたものを小袋に詰めなおすなど)の際に、元々添付されていた有機JASマークを再度貼付することのできる業者を指します。

注3 : 基準に適合した農法を実践して、2年もしくは3年に満たない農産物は「転換期間中有機農産物」等と表記する必要があります。

また、これら認定基準を違反した際には、各種処置や罰則の対象となります。

注4 : 有機農業を志す農家が有機JAS認定を受けるためには、全国の登録認定機関から認定事業者として認定される必要があります。認定は、認定機関が定めた申請書類にて書類審査が行われた後、検査員がほ場や事業所等に出向き、申請内容と認定基準の適合を確かめる実地検査が行われます。これらの結果をもとに、最終的に登録認定機関の判定委員会で認定された事業者が、有機JAS認定を取得することができます。

認定を取得するための費用は登録認定機関等により異なりますが、初年度であれば個人農家で最低約10万円+実地検査の必要経費(旅費・交通費等)、グループや法人農家で最低約20万円+実地検査の必要経費がかかり、認定を受ける品目やほ場の数によって、さらに経費が求められます。その他、セミナーや講習会の参加料等の経費も負担する必要があります。

また毎年「年次調査」という更新のための調査が求められており、それにも最低10万円弱の更新費用が求められます。

この負担は、ただでさえ収穫が不安定で、有力な販路も持っていない小規模農家や、就農したばかりの農家にとっては非常に重いものです。

注5 : 現行の我が国「有機農業の推進に関する法律」第2条では、有機農業を「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業」と定義しています。

本法は我が国での有機農業の普及を目的としていますが、実際に農産物に「有機」と記載できるのは、前述の有機JAS認定を取得した事業者に限られます。この認定は前述の通り、新しく有機農法を始める小規模な農家にとっては、非常にコストがかかるものです。

注6 : 弊社では、第三者により農産物の品質保証を行う有機JASの検査認証制度そのものを批判する意図はありませんが、さらなる有機農業の普及というミッション達成のため、このように独立した基準を設定し、本サイトの運営や商品づくりにあたっています。