人生の理由。
生まれつき、農家だったという人はいません。
たとえ、生家が農家だったとしても。
そのまま自分が農家になるとは限らない。
今の時代、後を継ぐというのは決断です。
ましてや、今まで農業と何の関わりもなく育ってきたのなら。
「農業」という仕事は、まず、どこかで「発見」されなければいけない。
その上で、「農家になる」という決断を下さなければいけません。
その決断の背景には、何があったのか。
何を理由に農業を始め、何を支えに農業を続けているのか。
かつて農家ではなかった人々が、農家という現在に至るまでの道程。
私たちの興味は、そこにありました。
はたけのみかたの取引農家の中には、農地もなにもないところから、その身一つで農業をはじめた人が数多くいます。
別業種のサラリーマンから転身した人や、学生時代からの学びのなかで農業に惹かれていった人。
長年の夢を実現しようとした人もいれば、ある日突然、農家になることを決意した人も。
「なぜ、農家になったんですか?」
単刀直入にそう尋ねても、
「難しいな、なんででしょうね」
と、すぐに答えが返ってこない時がありました。
しかし、思うように言語化できないその答えが、ある特定の人たちにとっては、「励まし」や「救い」になるのではないか。
私たちは、そう考えるようになりました。
朝からの農作業が一段落するお昼過ぎ。
その貴重な時間を借りてまで、私たちは一人ひとりに長時間のインタビューを行いました。
「なぜ農家になったのか」
その理由を聞くことは、
「その人がどんなひとなのか」
について、改めて知る機会でもありました。
ここに掲載しているのは皆、かつては農家ではなかった人たちです。
そして、全ての「まだ農家ではない」人たちにとっては農業の先輩であり、人生の先人でもあります。
程度の強弱を問わず、「農家になりたい」という想いを胸に秘めた全ての人たちに、彼ら/彼女らのことを知ってほしいと、私たちは思いました。
農業への挑戦を考えるはじめの一歩に。
想いを実現する直前の最後の一押しに。
きっと、何か得るものがあるはずだと思ったからです。
この場所で何人かの農家の人生に触れ、そして少しでもあなたの気持ちに、なにか刺激があったなら。
私たちにとって、これ以上嬉しいことはありません。
はたけのみかたは、あなたの挑戦を、心から歓迎します。